骨粗鬆症の症状はどんなもの?対策としての運動や食事についても解説

骨粗鬆症
骨がもろくなって折れやすくなる病気「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」について、その症状や対策を紹介します。日本国内だけで1,000万人を超える患者がいるといわれる骨粗鬆症を未然に防ぐために、適切な運動法や食事法などもまとめてチェックしましょう。

高齢化社会における大きな問題ともいえる骨粗鬆症について、病気の原因や症状、対策などを詳しく見ていきましょう。

骨粗鬆症はどのような病気か

「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」は、骨量の減少によって骨がもろくなり、骨折しやすい状態になる病気です。骨量は骨の強度を示す指標「骨密度(こつみつど)」によって判定されます。私たちの骨は、日々新しく作られたり(骨形成)、古くなった骨が壊れてなくなったり(骨吸収)を繰り返しながらバランスが保たれていますが、そうした自然のサイクルが乱れてくることで骨の内部がスカスカになってしまうのです。
日本整形外科学会の調べによれば、日本の患者数は1,000万人以上ともいわれ、高齢化に伴って増加する傾向にあります。
骨粗鬆症の患者には特に閉経後の女性が圧倒的に多いことから、老化や女性ホルモンとの関係性が注目されています。

骨粗鬆症は自覚症状がなくてもおかしくない病気

骨粗鬆症は、高血圧症や糖尿病といった他の生活習慣病とは異なり、病気が進行してもほとんど自覚症状がないことから「サイレント・ディジーズ(沈黙の疾患)」といわれています。そのため早期に気づくことが難しく、あるとき「骨折」といった合併症を起こすことで病気が発覚します。更年期までは体に痛みや違和感を覚えることが少ないため、つい予防や検査を怠りがちになってしまうのが骨粗鬆症の厄介なところです。

自覚症状には背中・腰の痛みや手首・足の骨折などがある

骨粗鬆症は、体の深いところで静かにゆっくりと進行する病気です。しかし高齢になってくると、スカスカになった背中や腰の骨の一部がつぶれてしまうことで小さな圧迫骨折を起こします。その結果、立ち上がったり重いものを持ち上げたりするときに脊椎(背中や腰)に痛みを感じるようになります。
また、背中や腰が曲がるのも骨粗鬆症の症状のひとつです。全体に身長が縮んで小さくなったように感じられることもありますし、さらに骨粗鬆症が進むと、背中や腰の激しい痛みで起き上がれなくなったり、転んだだけで骨折したりといった症状が現れるようになります。
手首や足などは、日常の動作の中で特に骨折しやすくなる部位です。

骨粗鬆症対策としては運動と食事が大切

骨粗鬆症は老化とともに症状が現れる病気なので、骨粗鬆症を予防する毎日の習慣としては若いころから正しい食生活を意識し、適度な運動を心がけることで骨を丈夫にしておくことが大切です。

運動による骨粗鬆症対策

骨は長軸方向に物理的な刺激を受けることでわずかな電気が流れ、強度を増すといわれています。骨粗鬆症を予防するためには、骨に重力のかかるウォーキングや筋力トレーニングで適度な刺激を与えることが効果的です。また、私たちの体は日光を浴びることでカルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」を生成することができます。栄養面と併せて、日光浴と適度な運動を心がけましょう。

食事による骨粗鬆症対策

骨の形成を助ける栄養素としては、カルシウムの他に魚介類やたまご、きのこ類などに多く含まれる「ビタミンD」や、小松菜やホウレンソウなどの緑黄色野菜に多く含まれる「ビタミンK」がよく知られています。特に、カルシウムはビタミンDと同時に摂取することで小腸や腎臓からの吸収率が上がることを覚えておきましょう。1日に3回の食事から摂取できる栄養は限られていますので、丈夫な骨を作るために必要なカルシウムはできるだけ効率的に、小まめに蓄えていきたいものです。とはいえ、ビタミンD不足をサプリメントや薬物などで1度に補おうとすると、過剰摂取による健康障害の恐れもありますので注意しましょう。

カルシウム摂取で注目すべき「酢卵」について

テレビの情報番組など多くのメディアでも取り上げられ、骨粗鬆症の予防に効果があるとして注目を集めている民間療法のひとつに「酢卵(すたまご)」があります。高血圧や冷え性を改善する民間療法としてよく知られる酢卵は、貝殻や食肉の骨に含まれるカルシウムを溶出させ、体内への吸収を促進するお酢の働きを利用したもので、中国に古くから伝わる漢方のひとつです。
この酢卵を、さかずき1杯ほどの酢卵を水で2~3倍に希釈して食後に飲むことを習慣にしましょう。独特の香りがあるため、長く続けるためには少量をはちみつやヨーグルトに混ぜて食べたり、一般的なお酢として料理に使ったりするなどの工夫が大切です。

骨粗鬆症の治療にあたっては薬物療法もある

骨粗鬆症の治療に有効な薬には、主に骨吸収を抑制する「女性ホルモン製剤(エストロゲン)」や、骨の形成を促進する「ビタミンK2製剤」「活性型ビタミンD3製剤」の他、骨の主要成分であるカルシウムを補う「カルシウム製剤」などがあります。いずれも効果が現れるまでには1~2年を要するため、自己判断で服用を中止することなく気長に治療を続けましょう。

まとめ
骨粗鬆症は高齢化社会が抱える大きな問題ですが、実に日本人の約70%がカルシウム不足といわれ、先進国の中では低いレベルに属しています。その一方で、骨粗鬆症の症状を改善するためには、長期的な予防で根気よく骨を強くすることが必要です。日々の運動と食習慣を見直すとともに、医療機関で定期的に検査を受け、適切なタイミングで治療を始めましょう。