血糖値スパイクとは?そのリスクや対策を紹介

血糖値
「血糖値スパイク」は、若い人や細身の人にとっても、決して他人事ではない健康問題となっています。 この記事では、血糖値スパイクにはなぜリスクがあるのか、血糖値スパイクを起こさないためにはどんな対策ができるのか、という点について解説しています。

血糖値スパイクとは何か

まずは、血糖値スパイクとは一体どのような症状なのかについて、確認しておきましょう。
血糖値スパイクとは、炭水化物など糖質を含む食品を摂取することで、食後に急激に上昇した血糖値がその後急降下する「血糖値の急激な変動現象」のことです。血糖値の急激な上昇とは、血糖値が140mg/dl以上になることを表しています。

血糖値スパイクの恐ろしいところは、一般的な健康診断の検査などでは発見ができない、という点です。
健康診断では前日の夜に食事を控え、当日に空腹時の血糖値を測るのが普通です。しかし前述のように、血糖値スパイクは空腹時ではなく食後に起こるため、健康診断で異常がないとしてもまったく安心できないのです。食後1~2時間のうちにすぐ血糖値を測る機会でもなければ、血糖値スパイクが起きていることに気づくことはまずないでしょう。

また血糖値スパイクは、年齢や体型、糖尿病の有無に関わらず誰にでも起こりうる現象であることが分かっています。血糖値のことを気にするべきなのは中高年か肥満体の人だけ、という認識が一般化していますが、若い人や細身の人にも等しくリスクはあります。
ある調査では、20代で細身の女性のうち、なんと5人に1人が血糖値スパイクと診断されたとのことです。現在は、成人の約20%に血糖値スパイクが起きていると言われており、非常に身近な問題となっています。

血糖値スパイクを放っておくと危ない

血糖値スパイクを放っておくと、どのようなリスクがあるのでしょうか?ひとつずつ確認してみましょう。

糖尿病

血糖値スパイクが起きてしまった人は、血糖値の急激な上昇と下降が繰り返されることで、糖尿病予備軍になってしまう可能性が高まります。

心臓や脳の病気

血糖値の変動が激しくなると、血管の損傷にも繋がります。それにより心筋梗塞や動脈硬化、狭心症といった心臓疾患や、脳卒中や脳梗塞などの血管に関係した重大疾病が引き起こされる可能性が高くなります。

アルツハイマー型認知症

血糖値スパイクが日常的に発生している人の場合、食後の高血糖の際には大量のインスリンが分泌され、その後一気に低血糖状態になります。低血糖状態に陥ると、脳細胞が糖を吸収するために不可欠なインスリンが不足してしまいます。その結果、糖を取り込めないことで脳細胞はダメージを受け、アルツハイマー型認知症を発症しやすくなる、ということも最近の研究で分かっています。

血糖値スパイクの対策

とても恐い血糖値スパイクですが、対策する方法はあります。特に大切な、食事面から見た3つの対策をご紹介します。

食べる順番に注意する

急激に血糖値を上げない食べ方をすることで、血糖値スパイクを防ぐことができます。具体的には、真っ先にお米やパンなどの炭水化物を食べるのではなく、まずは野菜やきのこ、海藻類などのおかずを食べ、次に肉や魚などのタンパク質、その次に炭水化物という順番で食べることによって血糖値の上昇を緩やかにすることができます。おかずの種類が少ない時には、お米やパンを口にする前に、一口か二口でもよいので炭水化物以外のものを食べるとよいでしょう。

空腹のところにいきなり糖質を多く含む炭水化物を摂取すると、血糖値の急激な上昇を起こすため、食べる順番に注意することが効果的であるとされています。

糖質の高い食事を減らす

食後の運動を心がけていても、食べる順番に気をつけていても、糖質に偏った食生活ではあまり意味がありません。現代人にありがちな、3食ともほぼ炭水化物という食生活はご法度です。朝や昼が炭水化物だけになってしまったのなら、夜は炭水化物を抜いて総菜のみにすることもできるでしょう。スナック菓子やジャンクフード、甘いものの摂り過ぎにも注意したいところです。
ちなみに、血糖値スパイクだけでなく、生活習慣病と呼ばれる疾患全般に対して、糖質の制限は効果的であることが認められています。※1 血糖値に影響を及ぼす食べ物について知っておくことは、健康維持に役立ちます。
※1北里研究所 糖尿病センター「適正な糖質摂取についての考察」
http://www.toukastress.jp/webj/article/2018/GS17-36J.pdf

血糖値を上げにくい食生活を身につける

最後に、「血糖値を急上昇させやすい食べ物」、「血糖値を上げにくい食べ物」、「血糖値を下げる食べ物」を知りましょう。
ごはん、パン、麺類、果物、砂糖など糖質を多く含む食品は、血糖値を急上昇させ、血糖値スパイクを誘発しやすい食べ物だと言われています。
しかし炭水化物や糖質も、健康維持のためにある程度は摂り入れなければならない食品なので、一切口にしないなどの極端な行動はNGです。

逆に、食べても血糖値が上がりにくい大麦、豆類、いも類、ピーナッツなどの食べ物は、低GI食品とも呼ばれます。糖分や油分を多く含むいもやナッツなども、意外なことに低GI食品なのです。

また、玉ねぎ、五穀、バナナ、オクラ、酢卵(すたまご)などは、血糖値を上げないだけでなく、下げてくれるというありがたい食品です。
血糖値スパイクを予防する点で、血糖値を下げる食品について知っておくことは特に重要です。そこで、血糖値を下げる食べ物については、さらに詳しく解説していきたいと思います。

玉ねぎやバナナ、オクラは1年を通して比較的安価ですし、どこでも手に入りやすい野菜です。
玉ねぎは、他の食材と合わせて調理しやすく、食卓でも出番の多い野菜ではないでしょうか。バナナは優しい甘みがあり、食物繊維も豊富に含まれているため、甘いお菓子を食べたくなった時や間食したい衝動にかられた時にも、食欲を満たしてくれるでしょう。オクラは、そのまま焼いたり炒めたりするだけでなく、粘り成分を生かした和え物やサラダにもよく用いられています。いずれも少し意識していれば、定期的に摂ることのできる食品でしょう。
五穀も、白米に混ぜて炊くなどすれば簡単に摂り入れることができます。さらに五穀は、白米よりも食感がしっかりとしているために自然と咀嚼回数が増え、満腹中枢が早期に刺激されることで食べ過ぎを予防することもできます。肥満が気になる方にとっては、栄養も摂れてダイエットにもなり一石二鳥です。
そして酢卵は、卵を殻のまま酢に漬け、殻が溶けた後に残った卵白と卵黄を酢に混ぜた食品です。酢卵には、糖質や脂質を分解してエネルギーに変換する作用や、糖質と同時に摂取することで、血糖値の急激な上昇およびインスリンの大量分泌を抑える効果があると言われています。

血糖値スパイクは誰にでも起こりうる可能性があります。普段の食生活について気をつけることでも予防は可能ですので、血糖値と食事の関係について理解を深め、よりよい食生活を心がけてみてはいかがでしょうか。