糖尿病予備群とは?
高血圧症、肥満、脂質異常症など、毎日の生活が大きな原因となって発症する病気を生活習慣病といいます。糖尿病はこの生活習慣病のひとつで、不規則な食生活や運動不足、ストレス、喫煙、飲酒など、毎日の生活習慣が原因でかかるとされています。肥満やメタボリックシンドロームになると身体に脂肪が多くつくため、その脂肪が原因で糖尿病やその予備軍になる可能性が高まるという問題が生じます。糖尿病とまではいかずに、血糖値が健康時より高い場合には予備軍となります。
血糖値は、ブドウ糖負荷試験で確認が可能です。ブドウ糖負荷試験では、空腹時と75gブドウ糖液を飲んだあと2時間後の2回に分けて血糖値を測定し、糖尿病や予備群かどうかを確認します。
この2回血糖値を測定した値が、空腹時には110mg/dl未満、2時間後には140mg/dl未満の場合には正常値ですが、空腹時に126mg/dl以上、2時間後に200mg/dl以上の数値が出た場合には糖尿病と診断されます。この血糖値が正常値と糖尿病の数値の間に当てはまると予備群です。
日本では40歳以上の3割程度の人が糖尿病か予備群の可能性があるという調査結果が出ています。健康診断では尿糖が陰性でも、ブドウ糖負荷試験では予備軍群である境界型と診断結果が出ることがあります。健康診断だけをみて安心しすぎないようにしましょう。
進行すると糖尿病になる危険も!
糖尿病予備群は、まだ糖尿病ではありませんが血糖値が通常より高い状態です。実際に予備群になっていても、自覚症状がないため自分では気づくことが難しいところも問題です。予備群になっていることに気づくことができても、そのまま変わらない生活を続けていると、数年以内に糖尿病に進行する可能性が高いので注意が必要です。
糖尿病になると、疲れやすくなる、のどが渇く、体重が減るなどの症状が現れます。そして、とくに気をつけなければいけないのは、糖尿病になるとかかりやすくなるさまざまな合併症です。
血糖値が高い状態が続く糖尿病では、毛細血液の血管壁が厚くなったり損傷しやすくなったりする合併症の「細小血管障害」になる可能性が上がります。細小血管障害には3つのタイプがあり()内の症状が生じます。
・網膜症(視力低下)
・腎症(腎臓機能が低下)
・神経障害(手足のしびれが発生)
また、血液中にブドウ糖が多く存在する状態が続くと動脈硬化になりやすく、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な病気にかかる可能性が上がります。正常値のときと比べて3.5倍の確率で心筋梗塞などにかかるという研究結果が出ています。
糖尿病の予備群になる原因
糖尿病やその予備群は毎日の生活習慣が大きな原因となって生じています。
揚げ物をよく食べているなど高カロリーの食事は糖尿病になりやすく肥満になる大きな原因とされています。また運動不足になると、代謝が悪くなり身体に内臓脂肪がつきやすくなります。また精神的なストレスや疲労も、糖尿病や予備群の原因になるとされています。
通常では、食事をすると血液中のブドウ糖が急激に増えるため、上がった血糖値を下げようと膵臓でインスリンが作られます。高カロリーの食事をすると、より大量のインスリンを作り出す必要があり、そのような食事のとり方が続くと、膵臓が疲労するためインスリンを十分に作り出せなくなります。インスリンは血液中のブドウ糖を身体に取り込んで血糖値を下げる働きをするホルモンなので、インスリンが作用しなくなると血液中のブドウ糖が処理されずに血糖値が上がります。
血糖値が高い状態のままになり、健康なときの数値にまで戻れない状態が糖尿病予備群です。さらに血糖値が上がり、症状が進行すると糖尿病になります。
予防方法
糖尿病予備群を予防する方法は、糖尿病の予防方法と同じです。高カロリーの食事や運動不足など、不規則な生活を送っていると肥満になり、膵臓で作られるインスリンの働きも徐々に悪くなっていきます。そのため予備群になったと分かったときには、生活習慣を見直して低カロリーの食事に切り替えましょう。また血液中の余分な糖を消費するために、定期的な運動がいいとされています。
そもそも糖尿病予備群にならないようにするためには、規則正しい生活を送ることが大切とされています。規則正しい生活の例を以下に4つご紹介します。
・栄養バランスの良い食事を3食規則正しくとる
・代謝を向上させるためにウォーキングなどの運動を生活に取り入れる
・たばこや過度な飲酒を避ける
・身体に脂肪や内臓脂肪がつかないように気をつける
生活習慣の改善は、続けていくことがとても大切です。はじめから高い目標をたてても続けられなければ、意味がありません。通勤時は一駅分歩く、お酒を飲まない日を作るなど自分が取り入れられるものからはじめてはいかがでしょうか。少しずつ規則正しい生活習慣につなげ、糖尿病につながらない生活習慣を身に付けましょう。