糖尿病はどのように治療する?入院の可能性もある?

糖尿病
糖尿病はどのように治療する?入院の可能性もある?

日本人は糖尿病になりやすい?

毎日の食事で糖質(炭水化物)を摂取すると、その糖質が分解されてブドウ糖になります。ブドウ糖は血液内に入って血糖となり、筋肉や肝臓などへ取り込まれてエネルギーとして消費されます。こうした過程を経て消費される血糖を、筋肉や肝臓などに取り入れる際に重要な働きをしてくれるのがインスリンです。
インスリンは膵臓のランゲルハンス島で作られるホルモンで、血液によって全身に運ばれています。日本人はもともとこのインスリンの分泌が欧米人に比べて少なく、インスリン分泌が減少しやすいと言われています。インスリンの分泌が少ないと血糖値を十分に下げることができなくなるため、食後も高血糖の状態が続いてしまいます。こうした状態が続くと糖尿病を発症してしまいます。

糖尿病とその予備軍は6人に1人と言われるほどその数が増加しています。糖尿病を予防するためには健康管理に気をつけることが大切です。初期の糖尿病であれば食事療法や運動療法で血糖コントロールが可能ですが、コントロールをせずにそのまま進行が進むと薬物療法で治療をする必要が出てきます。

糖尿病になると高まる合併症の危険性

糖尿病は、放っておくとさまざまな合併症を発症してしまう可能性がある病気です。糖尿病になると、血糖値コントロールが十分にできなくなります。血糖値が高い状態が続くと血液の粘度が高くなり、血管に付着しやすくなります。細小血管の流れが悪くなると、視力が低下する網膜症、手足の痛みやしびれを感じる神経障害、透析が必要になる腎不全などを発症する可能性があります。また、血糖値の高い状態では動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気にかかる可能性も高くなります。早めに血糖コントロールや治療を行うことが大切です。

初期の糖尿病治療の基本は「食事療法」と「運動療法」

糖尿病が発症してしまった場合、生活習慣に問題がないかどうかを確認し、「食事療法」と「運動療法」による血糖コントロールを目指します。他の病気や薬剤の影響、遺伝など明確な原因がある糖尿病もありますが、糖尿病は食事や運動などの日常的な生活習慣や年齢が原因で生じる2型糖尿病が全体の90%を占めていると言われています。そのため、「食事療法」と「運動療法」が重視されています。
また、糖尿病は検査入院や教育入院をすることはありますが、通院がほとんどです。ここでは各治療法について紹介します。

高血糖改善に欠かせない「食事療法」

2型糖尿病は主に肥満や内臓脂肪の多い人が発症しやすいとされています。過剰にエネルギーを摂取し続けると血糖値が高くなるため、血糖を下げるインスリンが大量に必要になります。こうした食生活によって膵臓の働きが徐々に悪くなってくると、インスリンの分泌が摂取エネルギーに追い付かなくなり血糖値が高い状態が慢性化します。
そのため、こうした食生活が原因のひとつであると判断されると食事療法が選択されます。食事から摂取するエネルギーの量や、食べる順番と食べ方を気をつけることで膵臓の働きが正常に戻り、インスリンの分泌量も改善されるという報告もあります。2型糖尿病は発症から10年以内に肥満の解消や内臓脂肪を減少させることで、高血糖の状態を維持・改善できる可能性が高まります。

脂肪を減らし、血糖値が減少させる「運動療法」

運動をすると血液中に過剰にあるブドウ糖が使われます。そのため、食事療法と並行して運動療法が取り入れられます。すでに身体についている脂肪や内臓脂肪を減少させることでインスリンの働きが改善されたり、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールが増えたりするといった効果も期待できます。
運動すると、はじめは筋肉の中に蓄えてある糖が消費されますが、15分以上経過すると血糖が消費され始めます。運動療法では血糖値の減少と脂肪の燃焼によって血糖コントロールをするため、ウォーキングやサイクリングのような有酸素運動が適しています。

血糖コントロールができない場合の「薬物療法」

2型糖尿病患者の中には食事療法と運動療法を十分行っていても血糖コントロールができない方もいます。そうした患者に対しては薬物療法が選択されます。また、1型糖尿病の場合はインスリンを作ることができない体質と考えられているため、最初から薬物療法を行います。
薬物療法には経口薬治療とインスリン療法があり、糖尿病の原因によって治療方法が選択されます。基本的にはインスリンの分泌量を増やしたり、インスリンに対する感受性を高めたりするものが使用されます。インスリン分泌が保たれている場合には、経口血糖降下薬の内服を行います。