生活している中でよく耳にする生活習慣病とはどんなものなのでしょうか。大まかな内容は把握しているつもりでも、「どんな病気が生活習慣病なの?」と聞かれると答えられない方も多いのではないでしょうか。ここでは生活習慣病について解説します。
生活習慣病の定義について
まずは生活習慣病の定義について確認しましょう。厚生労働省では「不適切な食生活、運動不足、喫煙などで起こる病気」と定義されています。
分かりやすく解説すると、日々の食事や運動、充分な睡眠などの適切な休養、喫煙・飲酒などの嗜好品の摂取量などによって、体調不良になったり、いつの間にか状態が進んでしまう病気のことです。生活全般のコントロールがうまくいっていない場合や、お酒やたばこなど広く普及した嗜好品の摂取が適切でない場合に、「生活習慣病」を引き起こす可能性が高くなります。
生活習慣病の病気の具体的な例とは
生活習慣病とは、先程ご紹介したように私たちの生活全般に大きく影響する病気です。
・Aさんは食事に気を遣っているが運動が嫌い
・Bさんはあまり食事には気を遣っていないが運動はよく行う
・Cさんは大食漢だが運動も好きで良く行う
・Dさんは食事では海産物が好きで毎日食べている
……など、無数のパターンがあるでしょう。
ただし漠然と「生活習慣病」といっても、その内容を把握しにくいということも事実です。生活習慣病の具体的な例も把握しておくことが大事です。
では、生活習慣病にはどのようなものがあるのでしょうか?
代表的なものにはメタボリックシンドロームとしての肥満症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症(高脂血症)などがあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
糖尿病
すい臓から分泌されるインスリンの作用が十分でないため、ブドウ糖が有効に使われずに、血糖値が高くなっている状態のことです。著しい運動不足、過食、肥満、ストレスなどが原因とされています。
インスリンは、体内でぶとう糖の消費を促進する作用があります。これが何らかの原因で十分に作用しなくなることで、尿の量が多くなる、のどが渇き水分をたくさん飲む、体重が減る、疲れやすくなるなどの自覚症状が徐々に現れます。
脂質異常症(高脂血症)
血液の中の中性脂肪やLDLコレステロールが基準より高い、またはHDLコレステロールが基準より低い状態です。動脈硬化を進行させ、脳梗塞など脳血管系疾患、心筋梗塞など心疾患のリスクが上がります。中性脂肪が高いと急性すい炎を起こすこともあります。
肥満症
肥満症とは、正常な人よりも体重が多い状況、または体脂肪が過剰に蓄積した状況を言います。糖尿病や脂質異常症といった他の生活習慣病の原因となったり、進行を早めたりします。また、時に大事故を引き起こしかねない「睡眠時無呼吸症候群」も引き起こす可能性があります。
高血圧症
高血圧は血圧の高い状態が続く病気です。健康な人の血圧は最高血圧が140mmHg未満、最低血圧が90mmHg未満ですが、いずれかが上回っている状態が高血圧です。血管の壁に強い圧力がかかり、老化が進行します。これが高血圧による動脈硬化です。血管は全身にあるため、その影響は甚大です。
生活習慣病の対策がなされないと…
生活習慣病の対策がなされないと重症化したり、合併症を引き起こしたり、さらに深刻な疾患を引き起こすこともあります。生活習慣病が原因としてあげられる病気には心臓病、脳卒中などがあります。また生活習慣病はがんにかかるリスクを増大することでも知られています。
脳出血、脳梗塞
高血圧による動脈硬化は脳出血、脳梗塞、大動脈瘤などの原因となります。血管がたくさんある所ほど影響を受けやすく、それぞれ、脳梗塞、腎不全、眼底出血、心不全などを引き起こします。そうならないようにするためにも高血圧と言われたら、それ以上血圧が高くならないように、気をつけておく必要があります。
心臓病(心疾患)
心臓は高血圧で負担がかかりやすい臓器です。厚労省が発表した「平成29年人口動態統計(確定数)」によれば、心臓病(心疾患)は日本人の死亡原因の第2位となっています。狭心症や心筋梗塞も心臓病のひとつです。
肺がん、咽頭がん
気管支肺胞など、肺を構成する器官や細胞が何らかの原因によってがん化したものが肺がんです。過度な喫煙は肺がん、咽頭がんなどの発症リスクを上昇させます。
アルコール性肝疾患
アルコール性肝疾患はアルコール性肝障害ともいわれ、長い期間に過剰な飲酒をしたことが主な原因となり発病します。脂肪肝、肝硬変が主な病気です。
生活習慣病の予防は重要
このように、ひとくちに生活習慣病といっても、多くの病気があるということがお分かりいただけたかと思います。普段の生活の仕方によっては、これだけの病気になるリスクがあるということです。
逆に生活習慣を整えることによって、多くの病気を予防することにも繋がります。健康を維持していく上で、まず、生活習慣病の予防がとても重要なものだといえるでしょう。