生活習慣病の合併症について解説。どんな種類がある?

生活習慣病
生活習慣病の合併症について解説。どんな種類がある?

生活習慣病とは?

生活習慣病とは、長年にわたる生活リズムの乱れ、喫煙、飲酒、偏った食生活などが原因で起こる病気の総称を言います。特に食生活においては、高カロリー、塩分過多、脂分の多い食事や食べ過ぎなどが要因として挙げられます。

生活習慣病の中でも、“糖尿病・高血圧・脂質異常層・肥満”は脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因になりやすく、死の四重奏とも呼ばれています。また生活習慣病のひとつとされているガンは、あらゆる病気の中でもっとも死亡率が高く、日本人の死因の第一位となっています。

生活習慣病における合併症の種類

生活習慣病の中でももっとも気を付けなければいけないのは、糖尿病による合併症です。糖尿病の主な合併症には、糖尿病神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病腎症があります。糖尿病における高血糖状態が続くと、これらの合併症を発症するリスクが高くなります。糖尿病による合併症が進行すると、手足の壊疽や失明、腎臓機能の停止など日常生活に支障をきたす重篤な症状につながります。

糖尿病性神経障害の原因

糖尿病性神経障害とは、高血糖状態が続くことで手や足の神経に異常が現れる病気です。この病気についてはまだ解明されていない部分も多く、原因についてもはっきりしていません。現在、有力とされているのは高血糖状態が続くことでソルビートという物質が神経細胞に蓄積され、それによって神経線維が異常をきたすことで痺れや麻痺などの症状が現れるという説です。また、血中のブドウ糖が増えすぎることにより、毛細血管がダメージを受け血管壁が硬くなったり細くなったりします。そうなると、酸素や栄養素が手、足の神経細胞まで届きにくくなり、異常が起きるという説もあります。

症状

手や足の先に、びりびり・ジンジンとした痺れを感じたり、痛みや麻痺などの異常が現れたりします。左右対称に症状が現れる特徴があり、進行すると壊疽や潰瘍となることもあります。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、進行すると失明に至る恐ろしい病気です。高血糖の状態が続くことにより網膜内にある細い血管が少しずつダメージを受け、血管に変形や出血が現れます。糖尿病網膜症は、初期の段階では症状を感じることはほとんどありません。自覚症状を感じた時は、症状がかなり進行してしまっていると考えられます。

症状

網膜症が悪化すると、視野の中に小さな虫のような黒い点が見える“飛蚊症”と言われる症状や、煙の煤、赤いカーテンなどが見え始めます。これは網膜にある毛細血管のつまりや出血などが原因です。末期になると、視力低下や最悪の場合は失明してしまうこともあります。

糖尿病腎症

糖尿病腎症も、高血糖により腎臓の血管が硬くなるなど、蝕まれていくことで発症します。腎臓は糸球体という毛細血管の集まりにより、身体へ必要なものと不必要なものをろ過して分別する働きをしています。腎臓の機能が正常な場合、身体へ必要な栄養素は体内に戻され、不要なものは尿として体外に排出されます。しかし腎臓の機能が低下すると排泄が困難になり、老廃物を尿として体外へ排出することができなくなります。

症状

初期にはほとんど症状は現れませんが、進行すると尿にタンパク質が多くなり、むくみなどの症状が現れます。末期になると、腎臓がほとんど機能しなくなり慢性透析療法(人工透析)や腎移植、膵腎移植などによる治療が必要になります。

合併症の予防には血糖値のコントロールが必須

合併症を発症させないためには、血糖値をコントロールして糖尿病を予防する必要があります。

血糖値のコントロールは基本的に毎日の食事によって行います。食事改善は簡単に取り組むことができる予防法です。ほんの少しの知識や工夫をするだけで予防できますので、今からすぐに始めましょう。

食事の基本は、油分や糖分を減らし和食中心の食事を行うことです。ご飯やパン、肉類などの炭水化物は控えめにして魚や野菜、海藻や豆類などをバランスよく摂るようにしましょう。

特に注意をしたいのは、生野菜をよく摂ることです。特に色の濃い緑黄色野菜は癌細胞を無害化すると言われている葉酸がたっぷり含まれています。ほうれん草、小松菜やパセリなどはとても優秀な葉野菜で、ビタミン・ミネラル類もたくさん摂取できます。

また、塩分の摂り過ぎに注意をすることです。お味噌汁の味噌を少な目に調整したり、普段の料理で塩分を減らしたり、塩分の濃い加工食品をなるべく摂らないといった工夫をすることができます。

動物性タンパク質の摂り過ぎは要注意です。牛肉や豚肉は料理の仕方によっては高カロリーとなり、消化に時間もかかるため身体への負担が重くなります。また癌細胞の働きのスイッチをオンにしてしまうのも動物性食品です。

白いご飯やパンはGI値(グリセミックインデックス)が高いので注意が必要です。GI値とは食後の血糖値の上昇度を示す指標です。食品によってGI値はかなり幅があります。できるだけGI値の低いものから先に食べたり、高GI値のものを避けたりするように、日ごろから意識しておくことが大切です。

海藻類や野菜は全般的にGI値が低くおすすめです。ひじきやわかめ、こんぶ、めかぶなどを取り入れ、毎食必ず生野菜サラダから食べ始める、という工夫をすることで血糖値の急上昇を抑えることができます。

また、白いパンより全粒粉パン、白いご飯より玄米を選ぶ工夫をすることでも血糖値を抑えることに役立ちます。間食には甘いお菓子やしょっぱいせんべい類ではなく、ローストしていないアーモンドやくるみなどがおすすめです。

血糖値の上昇を抑える“酢”

血糖値のコントロールは、食材の工夫だけでなく、食前に酢を飲むことでもコントロールできることが分かっています。食事の前に15㎖程度の酢を飲むことで、血糖値の急な上昇を抑えることができます。
今日の食事内容はどうもGI値が高そうだ、と判断した時は食前にお酢を適度に取り入れてみましょう。スーパーでは手軽に”飲めるお酢”として、黒酢やフルーツのエキスを合わせたブルーベリー酢やレモン酢など様々なお酢を購入することができます。