生活習慣病と食事の関係について解説

生活習慣病
生活習慣病と食事の関係について解説

戦後、日本は経済発展を背景に、食生活の向上や医学の進歩などで平均寿命が延び、世界でも有数の長寿国となりました。その一方で、近年に至るまで生活習慣病になる人が増加しており、大きな問題となっています。平均寿命が延びても、病気の状態であっては長生きする甲斐がありません。このため「健康寿命」と呼ばれる考え方が生まれました。「健康寿命」とは、病気などによる制約がなく、健康的に生活できる期間を言います。今では生活習慣病を克服し、「健康寿命」を延ばすことが医療の課題の1つとなっています。

生活習慣病の予防には、日頃から規則正しい生活を送り、適切な食習慣と適度な運動、そして十分な休養を取ることが大切です。また、タバコやお酒などの嗜好品を取り過ぎないことも重要です。中でも特に重要なのが、肥満と密接な関係にある食習慣です。運動を日常生活の中に取り入れていくことは、仕事や家事といった社会生活上の制約などで限界がありますが、食事は材料や調理法に気を付けたり、体によいものを取り入れたりすれば、少しの工夫で大きく成果を上げることができます。
今回は生活習慣病になりにくい食事や、生活習慣病の対策に効果が期待できる飲み物について解説します。

生活習慣病を予防する食事とは?

食事は個人の好みが大きく反映されます。「野菜が嫌い」、「濃い味付けが好き」といった食の好みは、子どもの頃から大人になるまで長期間かけて食習慣として身についてしまいます。こうした食習慣は意識的に変えなければ、なかなか変わりません。生活習慣病を予防するためには、自分にはどういった食習慣があるのかを自覚して、意識的に改善することが大切です。

日本人の食生活は欧米型に変化しています。欧米型の食事の特徴は高カロリー、高糖質、高脂質などがありますが、これらの特徴は生活習慣病と大きなかかわりを持っています。高カロリーで高糖質な食事を取り続けると肥満を増長させるだけでなく、生活習慣病の1つである糖尿病などの病気のリスクを大きく押し上げます。高糖質は血糖値を上昇させ糖尿病を引き起こしやすくなり、高脂質は脂質異常症を引き起こし動脈硬化の原因にもなりかねません。もし日々の食事が欧米型に偏り過ぎていると感じたら、できるだけ和食に変えてみましょう。食事を欧米型から和食型に切り替えることで、以下のように改善されます。

栄養バランスがよくなる

 和食は1品料理ではなく、主食と主菜、副菜、汁物をバランスよく献立に入れやすいので、たんぱく質やビタミン・ミネラルなどの重要な栄養素を必要な摂取しやすくなります。

動物性脂肪の摂取量の低下

動物性脂肪の過剰摂取は、肥満や動脈硬化、心臓疾患、ガンなどの原因になります。和食は動物性脂肪の割合が減り、魚由来の良質な脂質を取り入れやすくなります。

食物繊維やビタミンを摂取しやすくなる

副菜や汁物では野菜を取り入れやすいので、腸内環境を改善する食物繊維や、体全体の調子を整えるビタミン類もバランスよく摂取しやすくなります。

生活習慣病予防に効果が期待できる飲み物

いきなり洋食は一切取らず全ての食事を和食に切り替えるのは、少し無理があると感じる方もおられるのではないでしょうか。たしかに、欧米型の食事は既にわたしたちの生活に浸透しており、全て排除することは難しいものです。仕事のおつきあいで外食する機会もありますし、毎回栄養バランスを考えた食事を作るのも大変でしょう。そんな場合に手軽に取り入れられるのが、酢を使った飲み物です。
糖尿病対策の飲み物の1つとしてリンゴ酢があります。ミツカングループの実験では、対象者を「リンゴ酢を1日に2回飲むグループ」と「飲まないグループ」に分けて、12週間実験しました。飲んでいたグループでは内臓脂肪の面積や中性脂肪が減少し、飲まなかったグループはわずかに増加するという結果が得られました。
また、「酢卵(すたまご)」と呼ばれる酢に卵を溶かした飲料も、現在注目を集めています。酢卵は卵を酢に数日漬け、その酢にハチミツなどを加えて飲むものです。酢卵は古くから知られる健康食ですが、高血圧や糖尿病の予防・改善に効果が期待できると言われています。
酢卵は近年注目され、糖尿病の改善に効果が期待できる飲み物として商品化されています。中には普通の鶏の卵ではなく、漢方薬として珍重される烏骨鶏の卵を使った酢卵、「卵酢(らんず)」という商品もあります。1日に朝晩大さじ1杯程度飲むだけなので、忙しい方でも手軽に取り入れやすいでしょう。
こうした生活習慣病予防に役立つ飲み物を日常的に摂取することで、食習慣によい影響を与えることができるはずです。食生活の改善が必要だと分かっていてもなかなか思うように進まないといった方は、こうした飲み物を食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。